ゆれる

長めに喋る事〜!

読書といっしょ(大学生編)

 

こんにちは!

今回は久々に読書歴を振り返る記事にしま〜す。大学生編です。大学生の頃は比較的たくさん読めて楽しかったな〜でももっと読めたよなって思う…それはいつもの事で…。本だけが好きな人生だったら確実に今よりもっとたくさんの本を読めたんですけれど、いろんなものが好きな人生だったから今の私になってるので難しい。

それでも読書というのは急かされる事なく、取り残される事もなく、私が読みたいと思った時には側にいてくれるもので、こちらのリズムを尊重してくれる優しい趣味だなぁ〜と心から思います。

 

大学は通学電車が片道1時間くらいあったのでその時間で結構読み進めたなぁって思い出。阪急電車に乗っていたけど阪急電車は読んでません!笑

という事で大学時代に読んだ本たちで印象深いものを挙げていきます。

 

 

フラニーとゾーイー / サリンジャー

 

私は今26歳なのですが(女児)、現時点で人生で読んで良かった本10選に入ります。

まずもってフラニーとゾーイーを手に取った理由は忘れてしまいましたが、まだバイトも始めていない一回生のGW、積ん読消化クエストに挑み、その時に読みました。

前提として、その頃は高校卒業したてのサブカルアングラ陰鬱を好む第二次厨二病的な時期。普通の小説は面白くない、やっぱ人が死ぬとか美少女が出てくるとかお耽美要素がないとね…って春が青く光る世代、健全に病んでました。青の時代を読んで喜んでいました。青の時代は最初の方めっちゃおもろい。

 

そういうひねた私に一石を投じ、明るいものごとの素晴らしさを気付かせてくれるきっかけになった本です。物語のあらすじはなんてことなくて、大学でとにかく周りの人達のエゴに嫌気がさして自己嫌悪にも陥ったフラニーを兄のゾーイーがひたすら励まし倒すだけ。これまで読んだ事がないわって程の会話量、地の文より会話、台詞がずーっと続くのでかぎかっこを見失う。

それまでずっとラノベなどに多い台本書きの小説を否定していた地の文大好きな私は見事にボコボコにされました。会話文の妙…口調から語尾に至るまでの流れ、その問いに対しその返答がされる事の唯一さ、唯一のやり取りが続き続ける面白さ…なんと言えば良いのか難しいですが、フラニーとゾーイーという人物の属性や性格のぶつけ方、その組み合わせ方がうますぎる。永遠に続くと思うくらいに長い兄妹の会話が心地良すぎてむしろ永遠に続いて欲しいと思う。

 

最終的にはこういう自分でも良いんだ、狡くていやらしくても生きて良いんだって思えるような終わり方なのですが、そういう救われる終わり方でこんなにも心に残っている本はこれまでなかったからびっくりした。希望的な事、ぴかぴかした事、明るい事は「軽い」とか、「中身がない」とか思うような年頃だったのですが、この本を夢中で読んでその思い込みが晴れたような気がします。

その後アイカツ、三次元アイドルとの出会いで完全に払拭されて今に至るのですが、フラニーとゾーイーはその最初のきっかけだったなぁと今になって思います。

 

前述した会話文の応酬、その魅力に感動するにあたってもっとも重要なのは訳です。人生で初めて訳者という存在の凄さに感じ入った本でもあります。

原文を読めない私は訳したものを読む他ないので、真の意味で原文の良さをそのまま味わう事ができない。その悲しみがある反面、訳者というまた別の人物を経て私の理解できる言語に仕立てあげてもらう為、訳者がどのような訳をするかという手腕が味わえるのです!

いや、そんなん外国の本全部そうやんって感じなんですけど、何故かそれまで訳者と日本語訳について何も思わずやっきていたんですよね。この本で文章が余りに面白い!日本語訳が良すぎる!!!誰?!こんな文章書くの?!ってハイテンションになってようやく原文を訳すという役割の重要性と芸術性に気づきました…お恥ずかしい…!

 

野崎孝訳で読んだのですが本当に素晴らしい…いや、原文を読めない以上忠実に再現されているのかどうかははかることができないんですけども。単純に面白くて巧妙で個性的で…。語尾とか…そんなん…センスやん…。他の国の言語ってどうやってニュアンス表現するわけ…?日本語は柔軟に主語述語並び替えできるし類義語がめちゃくちゃあって選び取る個性が出やすいし漢字ひらがなも自由にできるから遊んだり癖付けしやすい気がするんですけども…。他の国の言葉に詳しい人、教えてほしい。

 

話を戻すと、野崎孝訳のフラニーととゾーイーの会話文、本当に可愛くて面白いのです。なんて事ないようで皮肉や例えを効かせていたり、その掛け合いがめちゃくちゃ面白いです。読んで体感してほしい。

YouTubeかなにかで爆笑問題の太田さんがお勧めの本を紹介している番組の動画を見たのですが、おすすめの中にフラニーとゾーイーがあったのです。人間失格とか太宰治の作品を読んで絶望感ややり切れなさを抱え厭世的になっていた時にフラニーとゾーイーを読んで救われたというような事を言っていて…。え、めっちゃわかる、……。

私は絶望したり世の中や自分が嫌になったりした訳じゃないけれども、明るいものを軽く見るのをやめる事ができた。フラニーとゾーイーは押し付けがましくなくって、ぐだぐだと会話してるだけで、読み終わる頃には結果的にたくさんの人を救済してる本だと思うんです。

読むと、「〜なんだな」って言いたくなること必至です…笑

 

一冊目でめちゃくちゃ長くなってしまった〜!大学時代読んだ本で面白いのたくさんあるのでこれ以降はサクサク行こう!!!

 

春琴抄 / 谷崎潤一郎

はじめて読んだ谷崎潤一郎著作。めちゃくちゃキュンとする。これまで数は多くないにしろそれなりに恋愛小説を読んできましたが一番キュンとしたのはその中のどれでもなくて、春琴抄。むしろ春琴抄のみ。短いのでおすすめです!

従者の名前が佐助なのでサスサク好きは一度は春琴抄パロディを考える、定石ですね!(?)

 

■アリ・ババと40人の盗賊 / リュックス・ルフォール

大学の資格過程で絵本を読んであらすじと感想を提出するというブックレポート的な課題があってめちゃくちゃ絵本を読んでいた時期があって、その時に読んだ中でも面白かったのがこれ。

アラビアンナイトの中の話の一つで、シンドバッドの冒険とかアラジンの魔法のランプとか個別に絵本になってますが、アリババと盗賊の話は読んだことがなくて。絵本を読み漁っているとこういう各国のおとぎ話や童話がやけに面白いと気付いて途中から童話ばっかり読んでいたのですが、アリババは大人が読んでもめちゃくちゃ面白い。

マギとかいう漫画で私が大好きな女の子モルジアナちゃんのモデルになったであろうと思われるマルジャーナという奴隷の女性がマジで聡明かつ冷酷かつ容赦なくて面白すぎます…アリババよりもむしろマルジャーナが強すぎる…敵わないこんなの…って…うう…アリモル……。全然関係ないですが私が一冊だけ持ってるR18の同人誌がアリモルです!(どうでも良い)

すみません、邪なオタクが邪魔しましたが、とにかく普通にお話として面白いので千夜一夜物語に対する興味が湧いたきっかけでもあります。あの11巻セット、めちゃくちゃ欲しいんですけど完走できる気がしない…。でも欲しい…この物欲め…!!!

 

 

虐殺器官 / 伊藤計劃

伊藤計劃さんが亡くなってその絶筆の作品を友人の円城塔さんが引き継いで完結させるというどう考えてもアツすぎる流れをタイムラインに流れてきたツイートで知り、すごすぎる…と思って吸い寄せられるように虐殺器官とハーモニーを購入していた私。

ハンパないって。

なにこの世界の作り込み…無理だって!こんなん、太刀打ちできないって!!!

精緻過ぎる世界の組み上げと、それを説明的になり過ぎないようにチョコ出しするうまさが尋常じゃない…たらもんじゃねーな、たらもんじゃねーよ。読めばわかる。

あと余談ですが、その「屍者の帝国」アニメ映画化について物申したい。なんでBLちっくにしたんですかね…がっかりしすぎて、観たかったけど観ていません。フライデーの何もなさこそ普通の屍者のあるべき姿として対比する為に側に居させていたと思うのでそこに私情を乗せるのはどうかと…。あと私はワトソソ君がハダリーにそそのかされるところが一等好きなのにな…。観てないから省かれてるかどうか知らないですけど!泣

 

 

砂の女 / 安部公房

あの、待って、めちゃくちゃ面白い。

なんでもっとはやく読まなかったのだろうと後悔して、いや大学生という微妙に成熟した時点で読んだからこそ良かったのか?とぐるぐる考えてしまう。設定が特殊すぎて最初は、は?どういう事?って置いてけぼりになるしとても怖いんですけれど、これでもかというほどバチボコに「人間」をぶつけられる。あぁめちゃくちゃ人間だなぁ、人間ってそういうとこある、この勝手さこのなし崩し感…人間すぎる…!ジワジワ毛穴から入り込んで来るような怖さといやらしさと有り余る人間味…キモいはずなのに面白すぎるっていうすごい本。

言いよって来る男の人にとりあえず「砂の女」を読んでみてって言って、読後の感想でその人をはかるというとんでもないことをしていたのですが、まず読んでくれた人は一人しかいなかったから許されるよね、ハム太郎

 

■われらをめぐる海 / レイチェル・カーソン

再登場を果たしたレイチェル・カーソン氏!カーソンさんの自然大好き!っていう気持ちがめちゃくちゃ伝わってくる美しい海の冒険記という感じ。

いろんな海や海流を紹介してくれるんですけど科学的な知見と感性的な描写が両方あってそこもカーソンさんのすごいところなんです!カーソンさんと同じ船に乗っていっしょに航海をしている気持ちになれる素晴らしい本。大学の図書館で借りて読んだので手元に置いていなくって、買わなきゃって思ってます。装丁の写真も美しい〜!

 

 

■海と毒薬 / 遠藤周作

これまで読んできた中で一番怖い本です。出版社のなんとかフェアで装丁が味のある一色の紙になってた時に購入しました。くすんだ血の色みたいな赤に文字は緑の箔押し。毒々しさ感じる色合いに内容のおどろおどろしさが現れてるなぁと読んだあとになって思いました。そんなに長い訳ではないのに、怖くて仕方がなくて読むのにだいぶん時間がかかりました。集中して読めていると止まらなくなるタイプなのですが、集中して読むほど恐ろしさが押し寄せてきて途中で本を閉じる程でした。そんな体験をしたのもはじめてで…。

いろんな意味で思い出深いので自分の同人誌に引用したり…。読んでみて欲しいけどもめちゃくちゃ怖いので軽率に勧めたりもできず。

人間の残虐性、無関心、無感動、罪の意識、罪悪感、社会からの断罪などなどずっと根底に流れている要素に不安が加速していくようで、読み進めて逃げてもまとわりついてくるし離してもらえない。そんなような怖さ…。戦時中の話だから、医者という特殊な職業だから、というのは関係なく現代でもこういう人はおそらくいるのだろうし、自分に起こった出来事に対して悲しい程に無感動な自分が悲しくなる事はわたしにもよくあるので。

 

この本は読み返すの大変そうだなぁ、読み返すかなぁ、無理かなぁ、、、。

たいていの本は臆さず読める私ですが海と毒薬はしんどかった。でも本を読んでしんどくなること、心がつらくて本を閉じてしまうこと、怖いと思いながらも読むのをやめないこと、それらの経験はおぼえておきたい。

読書が大好きなのに苦しみながら読んでいる自分と、読んでいて苦しくなるような本と、苦しみながら読んだ時間たちがあったことをずっとおぼえておきたいですね。

 

 

こんなどんより終わるとは思ってなかったですが、読んだ順に書いてるのでしょうがないですね。海と毒薬はちょうど就活〜卒業制作らへんでずっと読んでいたのですが、その怖さに影響されずちゃんと完成させられて良かったな…。

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大学時代に読んだ本で自分の好みがより確定した気がきます。でもやっぱり今後私が生きてる間に出会える本の数には限りがあること、その限りの中で世の中にたくさんある良い本にどれだけ出会えるかどうか。選書の重要さを噛みしめるし、この生涯で出会えない素晴らしい本たちの事を思うとしんどくなる。読書の事を考えるたびにそう思っていたんですよね。私の人生は読書極振りじゃないから、そのほかの趣味もたくさんあって、遊ぶのも大好きだし寝るのも大好きだし。純粋に読書極振りの人生を歩んでいる人には生涯で読める本の量は太刀打ちできないわけだから。

 

そんな意味不明なスケールの悩みに、思わぬ方向から理解者が現れてアンデルセンさんのことめちゃくちゃ信頼できるなぁと思いました。スキ!

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わかりすぎるくらいわかる!!!でも本がないと悲しい!泣

 

次は社会人編ですね。いつになるか分からないけど。文字にしてまとめる事は良いことだ。内容はまとまってないけど、記録として振り返って残せるのは良いことだ。あと夏、まだ死ぬな!!!!!!我を置いていかないで!!!!!ずっと側にいて!!!!!!!!

 

おわり!